<法律のお時間>連帯保証って怖いな。
さてまずは民法の勉強でも致しましょう。
みなさんは「連帯保証」という言葉をご存じだと思います。
例えば、『ナニワ金融道』や『カバチタレ!』といった傑作法律マンガでも、その恐ろしさは再三書かれています。
法律的な説明をすると、連帯保証人は「催告の抗弁権」(債権者が保証人に債務履行を請求した場合に、保証人はまず主たる債務者に請求するように主張する権利)や「検索の抗弁権」(保証人が、債務の履行を求める債権者に対して、まず主たる債務者の財産について執行するように主張する権利)を持たないということになります。
簡単に言えば、お金を借りた人と同じ扱いを受けるという事です。
さらに言えば、債権者側にとってはどちらも同じ債務者であり、つまりどちらに取り立てに行っても構わないという事なのです。
恐いですね〜。
似た言葉に「共同保証」というのがあります。
これは、同一の主たる債務について複数の者が保証債務を負担することです。
民法456条に規定があります。
第456条
数人の保証人ある場合に於ては其保証人が各別の行為を以て債務を負担したる時と言えども第四百二十七条の規定を適用する
法律を勉強する時は必ず条文にあたる事が大切です。読み方にはコツというより慣れが必要ですが、よく読めばなかなか考えてあるなと思えます。
さて第427条とは何かと言うと
第427条
数人の債権者又は債務者ある場合に於て別段の意思表示なきときは各債権者又は各債務者は平等の割合を以て権利を有し又は義務を負う
つまり、特に何らかの意思表示が無い場合は、人数で頭割りするのですね。2人で50万の債務なら25万ずつの負担で済むわけです。これを法律用語で「分別の利益」と言います。
しかし、ややこしいのは複数の連帯保証人による共同保証の場合には、それぞれが全額の連帯保証債務を負うわけですから、この分別の利益は無効となります。さらに共同保証において、複数の普通保証人同士が、分別の利益を放棄して、お互いに相手の分まで保証債務を負担する特約を結ぶことは可能です。これを「保証連帯」と呼びます。「連帯保証」と混同しないように気をつけて下さい。
他にも「連帯債務」と言う言葉があります。
これは、数人の債務者が、同一の給付を目的とする債務を各自独立して、負担しそのうちの一人がこれを履行すれば債務がすべての債務者について消滅する債務関係のことです。
つまり誰か一人が払ってしまえば完済するのですね。
では、連帯債務と連帯保証のどちらが債権者にとっては都合がいいでしょうか?
つまりどちらが取り立てやすいでしょうか?
連帯債務は例えばA・B・C・D・Eという五人で締結した場合、その比率は任意です。
つまり今ここに200万の債務があるとして、Aさん一人に200万を請求してもいいし、みんなに40万ずつ請求しても構いません。
そう考えると取り立てもしやすそうですが、反面、みんなの管理をしないといけません。
というのも、一人の債務者に時効が完成すると、他の債務者にもそれが影響するからです。
ところが、連帯保証では誰か一人さえ債権の管理をしていればいいのです。
そこで連帯保証を結ぶ事が多くなるというわけです。連帯という言葉の響きはどこか共有という意味合いを感じさせますが、法律用語では使われる位置によって意味が変わる事を認識しましょう。
最後に、身内でもない限り連帯保証人にだけはならないようにしましょうね。
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