2006-01-01から1年間の記事一覧

伊藤くんのひとりごと?

65 すごいのはガチャピン、である。 ムックではない。 ガチャピンというのは、フジテレビの人気番組ポンキッキーズ21に出ている、あの緑の恐竜もどきの生物である。 ちなみにムックというのは、MagazineとBookが合体した、あの堅い冊子の本の事を指すのでは…

やっぱり伊藤くんのひとりごと

64 しんみりと、である。 秋の夜長はしんみりとである。 この小説もどきは、時系列が一様ではない。季節はいかようにも変化し、話題も一定ではない。 そんな風にして今日もこの話は始まる。 学生の伊藤くんにとって、秋という季節は微妙である。 秋にどんな…

伊藤くんのひとりごと

63 靴が道端に落ちていた。 片方だけ、である。 その時、人はどういう反応するか、これはそういう実験なのかもしれないと思う前に、まず誰が落としたのだろうと伊藤くんは考えた。 人間の頭脳というのは空白を埋めようとするようだ。 理解できない物に出会う…

伊藤くんのひとりごと

62 二日後。「いらっしゃいませ、ご主人様〜。」ロビー中に聞こえるような大音量で勢揃いした女性陣が出迎える。もちろん全員メイドの格好だ。エプロンにふりふりのついた黒と白のコントラストが目にまぶしい。 伊藤くんは一種の気恥ずかしさを感じながらも…

伊藤くんのひとりごと

61 劣化である。 今日はその事について小一時間くらい話してみたいと思う。 但し、書くスピードと読む速度には違いがある。たいていの場合、後者は前者を圧倒する(と書いてあると、いちいち前の文章に戻って確認してしまうのは僕だけだろうか)。音読しなが…

ひっさびさの伊藤くんのひとりごと

60 伊藤くんはパソコンの前に立っている。いや、正確にはMacを前にして座っている。もっと正確に言えば、ノート型のマッキントッシュを机の上に置き、傍らに置かれたマウスに右手を置き、左手は肘掛けに乗せたままイスの上でくつろいでいる。 日本語は曖昧だ…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

59 駅のホームに立っているといろんな人間がいる事に気づく。 柱の両側に吸い殻入れが立っている。 その両側からちょうど同時に吸い殻を捨てようと身をかがめる人がいる。 この時偶然にもMという人文字ができた事は多分伊藤くんしか知らない。 そんな偶然…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

58 「先輩は何学部なんですか?」 前回から急に現れた新キャラこと中松奈々子(実に安易な名前だ)がきらきらした目で質問する。この物語ではナナちゃんと呼ぶ事にする。いや、すでに呼んでるし、物語という程ストーリーは無いけど。 先輩という響きはなぜ…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

57 何だかつまらないと僕の脳内編集長はつぶやく。 このままじゃ部数も伸び悩みですねと能なし社員がさらにかぶせる。 そこで窮地に立たされた僕は、打開策を試みる。 つまり、登場人物を増やしてみてはどうかという議題がここに来て浮上したのである。 しか…

小説のお時間しか更新してないよな〜伊藤くんのひさびさのつぶやき

56 「閉店セールとうたいながらいつまで経っても閉めへん店ってあるよな〜」 「あっ、あるある。うちの近所のケーキ屋さんにね、いつ行っても半額のブランデーケーキがあるんだけど、それと同じね」 「スーパーなんかで値札にわざわざ訂正してプライスダウン…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

55 「これってどんなゲームなの?」 「自分が動物の村の住人になってスローライフを楽しむ作品だよ」 洋子さんは今、任天堂DSで『おいでよ どうぶつの森』をプレイしている。画面の中では二等身のキャラクターがゆっくりとした歩調で村の中を散歩している…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

54 「ねえねえ、伊藤くんって任天堂DS持ってるって本当?」 「うん、持ってるよ」 「じゃあ、脳を鍛えるソフトって持ってる?」 「あるよ、ほら」 そう言って鞄から白い物を取り出す。 「うわ〜、こんなんなんだ」 「ライトじゃないけどね」 「ライト?」 「…

<小説のお時間>〜伊藤くんのつぶやき

53 伊藤くんはグランドの観客席にいる。 春にしては強い日射しが顔に陰影を作る。 のどかだ。 こうしていると世の中から隔絶されたような気分になる。 まるで呼吸を止めたように静かだ。 時間の流れがどこまでもゆるやかで自分の存在までもが無に感じる。 遠…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

47 僕がなぜ小説もどきを書くようになったかと言えば、それは神の啓示を受けたからだ。 降臨された神はその時、私めに向かってこうおっしゃった。 お前の書く小説が見てみたいと。 だから僕は毎日こうして小説らしきものを書いている。 もしかしたら、神がお…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

52 こんな夢を見た。 歯の出た男が舞台の真ん中に立っている。 そして、私って○○だな〜と思う時というお題の再現VTRが流れている。 伊藤くんはそのVTRを見ながら、事前に書いて提出した自分の体験談を反芻する。いつこの司会者が自分を指名するのか分からな…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

51 伊藤くんは家に帰り、マックを触っている。もちろんパソコンの事だ。 ウインドウズ全盛期にあっても伊藤くんはマックが好きである。おそらく両者の間に性能的な差はそうは無い。 もしあるとすればそれはセンスの差だろう。 例えば、ファイルに名前をつけ…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

50 「メールの返信で、ちょっと残念に思う時って無い?」 「どーゆーの?」ヒトシがDo you know?にかけた発音で茶化す。そんな技を使わなくても容姿だけで十分元は取れているのに。 「アドレス変更の一斉送信」 「あっ、あれか。確かに送信元にズラズラとい…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

49「この前の塩アメじゃないけどさ。異例の組み合わせというか、逆転の発想ってあるよね」伊藤くんに限らずこのような唐突な話題の転換は、大抵の場合すでにその答えが用意されている時に起こる。 そこでこの場合もまた、当然のように次の質問が繰り返される…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

48「乾パンの缶の中には何で氷砂糖が入ってるんやろうな」ヒトシが急に質問する。 「さぁ、たまには甘い物が食べたくなるからじゃない?」洋子さんが何でそんな事をとでも言いたげにヒトシの顔を見る。 「あれは口の中を潤すためだよ。食べてばかりだとパサ…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

47 僕がなぜ小説もどきを書くようになったかと言えば、それは神の啓示を受けたからだ。 降臨された神はその時、私めに向かってこうおっしゃった。 お前の書く小説が見てみたいと。 だから僕は毎日こうして小説らしきものを書いている。 もしかしたら、神がお…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

41 こんな夢を見た。 サングラスをかけたオールバックの男が隣に座っている。少しすきっ歯だ。そして背が低い。サングラスのせいで目の動きが分からない。 観客がいる。100人位だ。 驚いた事に男は観客をあおっている。 そして拍手を静する。 もしかしてこ…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

46 またこんな夢を見た。 隣にあぶらぎった険しい顔つきのおじさんがいる。 そしてなぜか電話で悩み相談を渋い顔をしながら聞いているのである。 この男はー。 伊藤くんもおもいッきり悩みを聞いているのである、なぜか。 ホワイトボードには見事なまでの人…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

45 映画館というのは全くもって不思議な空間である。 そこは大勢の人が一つの画面を見つめる広場。 しかし、だからこそいろんな人間がそこにはいる。 マナーを知らない人が多いと思うのは伊藤くんだけだろうか。 先日も映画館でいろんな人間を見た。映画がつ…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

44 「対比って大事だよな」 「えっ?」洋子さんがきょとんした目つきでカズを見る。 きたぞ、きたぞと伊藤くんは思う。カズワールドが今まさに幕を開けようとしているのだ。 「例えば、この塩アメはまさに味のコントラストだ。辛いものが甘いものを引き立…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

43 「話は変わるけど大学に入って驚いた事ってある?」 何かを思い出したように洋子さんが話し始める。 「う〜ん何だろう。まぁ自由になったって事かな」伊藤くんも懸命に記憶をたどる。 「大学ノートって使ってる奴おるんかな」ヒトシがあさっての方向へ話…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

42 「俺が高校生だったら絶対にあの学校には転校しないな」 「何で?」 「だって殺されるじゃん」 「あっ、確かに。それうける〜」 物騒な会話である。でも意味が分からない。 話しているのは洋子さんとカズである。 そして、今の話題はマンガである。 金…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

41 こんな夢を見た。 サングラスをかけたオールバックの男が隣に座っている。少しすきっ歯だ。そして背が低い。サングラスのせいで目の動きが分からない。 観客がいる。100人位だ。 驚いた事に男は観客をあおっている。 そして拍手を静する。 もしかしてこ…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

35 「自首のタイミングって分かる?」伊藤くんが名誉挽回とばかりに火種を点ける。 「自首のタイミング?」洋子さんが輪唱する。ある日、森の中〜。 「自首のタイミングって何やねん」ヒトシに出会った。ダメだ。伊藤くん、慌てて歌詞を直す。 「じゃ、自首…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

40 伊藤くんの近所で最近大きなスーパーが立て続けに(建て続けにか)二軒もできた。これは風光明媚な田舎にとっては一大事である。なぜこんな辺鄙な場所にそんな物が二つもできたのだろう。駅前にはコンビニさえ無い田舎である。 まるで砂漠に突然浮上し…

<小説のお時間>〜今週の伊藤くんのひとりごと

39 伊藤くんの利用する駅には、面白いサービスがある。駅の一角に書棚が備えつけてあるのだ。傘の貸し出しというのは、最近よく見かけるようになったけれども、そこにはいろんなジャンルの本が所狭しと並んでいる。おそらく始めは遺失物の本ばかりだったの…