<算数のお時間>数のお話
僕たちは、小学校の算数で、数について習いました。数の数え方から学び、たし算、ひき算を習ったはずです。
そこで僕は「はてな?」と思いました。もちろん大人になった今になっての疑問なんですが、ふとなぜ数字というものを学んだんだろうと思ったのです。
まず思いついたのがお金です。数字が書いてあって、一番使うもの(笑)が僕にとってはお金です。
お金は数字が分からなければ、何の意味も持ちません。
「だんご三兄弟」や「バザールでござーる」などで有名な佐藤雅彦さんと経済学者の竹中平蔵さんの対談集『経済ってそういうことだったのか会議』の中で、こんなくだりがあります。
佐藤「初めての国に行くと、どの国のお札も必ずオモチャに見えるんです。しばらくいると見慣れてくるんだけど、どうしてもそれが価値のあるものとは、にわかに信じられないんです。でも、その国の人たちには全然そうじゃない。当たり前なんだけど不思議な気がするんです。」
竹中「見慣れない通貨はオモチャに見える・・・佐藤さん、これが何を意味するかというと信用なんです。今、私は1万円札を持っていますけれど、なぜ1万円札を大事に持っているかというと、これは日本銀行券だからなんです。私は日本銀行を信用してるんです、今の時点では。もう一つの理由は、街に出れば街の人も日本銀行を信用してこの券を受け取ってくれるだろうと信じているからなんです。」
ここでの信用というのは、通貨として価値があるという共通の認識ですね。もし、それが無ければ貨幣経済は物々交換ということになって、本一冊買うのにじゃがいも一個なんてことになってしまうわけです。
では、この通貨価値の最も根本にあるものは何だろう?と考えると、そこには数字という概念があると思うのです。
ユーモラスなエッセイを書く事で有名なパスティーシュの名手・清水義範さんは『いやでも楽しめる算数』の中でイランでのびっくり体験をお書きになっています。
「スーパーの中の商品にはすべてペルシア文字の数字で値段が書かれていて、アラビア文字はいっさいなしだった。つまり、外国人が買い物に来るなんてことは滅多にない、現地の人のための店だからだろう。さぁ困った。ものの値段が全く分からないのだ。これが値段だろうということはわかるのだが、そこに書いてある字が読めない。この数字をどのように解読すればいいのか」
このあとは清水さんは、レジの上にあるカウンターナンバーらしきものをヒントに1から10までの数字を類推するという素晴らしい技を披露されるのですが、この事からも分かるようにお金というものは数字が分からなければ、意味が分からず使えないわけです。
筆算というのを覚えていますか?
計算機を使わずに数字を縦に並べて書く計算の仕方です。
数の計算で始めに習うのはたし算、そして次に習うのがひき算ですが、それはそのままかけ算とわり算につながります。
えっ?不思議ですか?
筆算をしてみれば分かります。かけ算は一文字ずつ掛けた答えをすぐ下に書きます。次の位は一つ左にずらして書きますね。そして縦につながった(重なった)部分を足すわけです。10以上になると次の位に1を足すのですね。
ではわり算はどうでしょう?あのルートみたいな記号を使って一文字ずつ割ります。そして、今出した答えを上にある大きな数から引くわけです。そして、残った数を割っていくのですね。
これは文字で書くと分かりづらいですが、書いてみればすぐに分かります。筆算を忘れた人は試しに小学校の算数の教科書でも見せてもらって下さい。
普段は計算機の力を借りて何も思わないかもしれませんが、計算の始めはたし算とひき算であり、これは大人になっても常に意識する大切なものなのです。
例えば、時刻表を見て、家を何時に出なくてはいけないと逆算して考えるのはひき算なわけです。ニンジンを何本買おうかしらと考えて、1本いくらだから、2本でいくらだと考えるのはたし算なわけです。
また九九を覚えさせられたのは、いちいち計算していると面倒なので、基本の81通りの答えを覚えさせられたのですね。
もしも数字が無ければ、時間を区切ることも1年を1年と定めることもできませんでした。できたかもしれませんが、例えば○○ちゃんの誕生日だとか、結婚記念日という風に個人それぞれが勝手に日付に変わる形で覚えるしかないわけで、これでは統一が取れず社会生活が成り立たないわけです。
教わった先生にもよると思いますが、子どもにとってなぜ数を習うことが必要であるかという説明もないまま、ただ計算させていてもそれはただのクイズでしかないように思います。
といって子どものうちにあまり理屈っぽいことを言っても仕方無いかもしれません。習うより慣れろという言葉もあるくらいです。
このブログでは、そんな「はてな?」にこれからも注目し、みなさんと学んでいきたいと思います。
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