<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

20 「私、ドリカムいっちゃおうかな〜」 すっかりカラオケを満喫している洋子さんである。気が付けば、さっきからトリノオリンピックの実況レポーター以上にマイクを離していない。ワンウーマンショーだ。 「ねっ、ドリカムの初期の名曲に面白い語呂合わせ…

<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

19 さて、ここで作者の物語リモコンを持つ手は一時停止ボタンに触れる。この比喩表現は適切だろうか?メタファーも何もあったもんではない。極めて感覚的というよりマンガ的な陳腐な表現ではないだろうか? と書いてみて、「?」よりも「。」の方がいいのだ…

<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

18 「マクドと言えばさ。バーガー安いよな」口調は関東弁でもマックとは決して言わないカズである。ミスタードーナッツはミスドだ。ロイヤルホストがロイホなら。ドンキホーテはドンホ、びっくりドンキーはびくどか?何だかエラリィークイーンに怒られそう…

<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

17 ところでみなさんは一人カラオケというのを体験した事がおありだろうか? まず、一人カラオケをするにあたっては、入念なリハーサルが必要である。部屋のアポを取ってから、退出してお金を払うまでが勝負なのだ。 だから頭の中で(できれば前日の夜に)綿…

今週の伊藤くんのひとりごと(総集編)

11 気が付けば、もう11である。セブン…である。 もう3万文字も書いているのに、全く進歩が無い。 話の展開も遅々として進まない。はは。 400字詰め原稿用紙に換算して、70枚以上。そのうち作者のつぶやきというかぼやきが65枚ほどあるのではないかと推察…

<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

16「ちわっす!」 また新たに人格不確定人間が登場した。カズだ。 「どしたん?今日はやけに早いやん」ヒトシが声をかける。 にやりとしながらカズが伊藤くんの横に腰を下ろす。 「まっ、そういう時もあるわな。で、何の話でヒートアップしてるわけ?」 どう…

<小説のお時間>〜伊藤くんのつぶやき

15 「おはよう」ヒトシが部室という名の食堂に入ってくる。 「うん、おはよう」 薄いカーテン越しに透過する寝ぼけた朝の日差しを背に伊藤くんが挨拶を返す。 「朝の講義は無いの?」 「うん、俺今日は昼から経済学」 「へー、そうなんだ」 扉が開く。 「…

<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

14 朝の電車は相変わらず混んでいる。そして、みんな一様に急ぎ足だ。駅の階段を脱兎のごとく駆け上がる人々。二段飛ばしで登る若者、ハイヒールを器用に操ってつま先でくのいち忍法を披露する女性(男性は想像したくない、朝からケインだ)、どこにそんな…

<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

13 7時25分 2時20分 06:14 09:02 5時55分「くそっ!」 「あっ、5じゃなくて2か」 このような文章をあと10行でも書けば、読み手はおおまかに次の二つに分ける事ができるだろう。 一つは意味不明で曖昧模糊とした冗漫な文章に嫌気が…

<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

12 伊藤くん達は、下の階へと移動する。 いきなり話が進むなんて素敵である。自画自賛である。分からない人は11を飛ばして10から読み進めるといい。 ヒトシくんだけは今いち腑に落ちない顔をしている。もちろん伊藤くんだってホントのところはカズの真…

<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

11 気が付けば、もう11である。セブン…である。 もう3万文字も書いているのに、全く進歩が無い。 話の展開も遅々として進まない。はは。 400字詰め原稿用紙に換算して、70枚以上。そのうち作者のつぶやきというかぼやきが65枚ほどあるのではないかと推察…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと総集編(ちょっと手直し版)

この辺りで、伊藤くんのひとりごとをまとめて読みたいというコアなファンのリクエストにお答えして(一人で書いていると虚しい)、今回は大河ドラマ並みに総集編をお届けする。これが、作者のひとりごとである。 1 伊藤くんは、怠け者である。のび太に負け…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

10 時刻は夜である。 この小説が画期的というのは、掟破りという意味においてである。ここでは時間的拘束も場所による制限も無い。 時系列は複雑であり、学年はドラえもんやコナンのように変わらない。登場人物が全く言葉を発しない事もあれば、主人公以外…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

9 さて、私は多分おそらくきっと間違いなく半信半疑ながら小説を書いているはずである。この希望的観測表現に満ちた一文を読者のみなさんはこれからも先も般若心経のように何度も心の中で反芻しながら読んで頂きたい。 目を左右に走らせる筋力トレーニング…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

8 伊藤くんはここで新たなアイデアを思いつき、PDAに書き込む。 覗いてみよう。 多画面DSとある。 そこに何やら図が書いてある。 任天堂DSは二画面だが、彼の書いた図には何画面ものスクリーンがつなげて書かれてある。まるでムカデである。こんな気持ち悪…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

7 朝、目を覚ます。 などと書くと、朝目を覚まさない奴がいるのか?とお叱りを受けるかもしれない。しかし、世の中には夜のお仕事で夕方に目が覚める人もいるのだから侮れない(この言葉の響きはなかなか面白い)。 しかし、伊藤くんはごく標準的学生という…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

6 偶然というのは、ある意識した事象が続けて起こった時にそう呼ばれるのだろうが、午後の授業は善悪をテーマにした刑法の授業だったのも偶然と呼ぶべきだろうか。 テーマは違法とは何かである。 法律で罰するという事は当然、その行為が悪いからである。 …

<小説のお時間>〜伊藤くんのまだまだ続くひとりごと

5 昼過ぎにやっと出てきたカズが、指先から立ちのぼるタバコの煙をぼうっと見ながら 「何か面白い話ないんか?」 と口火を切った。 おそらくカズにとっては今が朝なのだろう。 こいつはちゃんとした社会人になれるのだろうか? もしくは社会が彼に慣れるの…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひさびさのひとりごと

4 学生通りの坂を駆け上がりながら、一時限目の授業に間に合った伊藤くんは携帯を取り出し、サイドボタンを押す。授業中のメールは禁止されているが、この広い教室の中では教授に見つかる事も無い。 というより、教壇側から見ればやる気のある生徒の方が少…

<法律のお時間>〜デスノートにおける刑法学的考察〜

デスノート。突如彗星のごとく現れ、少年少女たちを知的興奮の渦へと誘ったサスペンス漫画の金字塔。少年漫画誌における胸ときめかす記念碑的作品の誕生とも言える(これをときめきメモリアルと呼ぶ)。 少なくとも飢えた猿の檻にバナナを投げ込んだ状態、あ…

<小説のお時間>〜伊藤くんのひとりごと

3 翌朝、通学途中の改札口を通り過ぎると、やっぱり今日もあれれと首をかしげた。 この一週間、いつもの光景に出くわさないのだ。 人には、習慣がある。朝起きて、最初に何をするかは人それぞれだ。 伊藤くんにももちろん習慣がある。 いつも見かける光景を…

<算数のお時間>〜少数のお話。

みなみなさま、お久しぶりです。学生のみなさんは夏休みの真っ最中ですね。いや〜、羨ましい。って、このサイトも夏休み状態にしてどうする! まっ、僕の場合、毎日気持ちは夏休みなんですけどね(笑) さてさて算数の時間ですが、僕らは小学校で小数という…

<理科のお時間>〜音の話

さて、今日は理科の時間ですね。 今回のテーマは「音」です。 音というのは振動ですね。たいこを叩くと音が鳴るのは振動しているからです。試しにたいこを横にして、豆でものせれば、叩いた瞬間にポップコーンのように飛び上がるでしょう。反対に重い物を乗…

<頭のお時間>発想力を鍛えるゾ!

みなさん、今日も頭を使っていますか? 脳は毎日使うことでどんどん良くなるらしいですよ。 そのわりに僕の頭が良くならないのはなぜなんでしょうかね〜。 頭は確かに使わないとさびつきます。 たとえば、計算問題をしなくなると九九さえあやうくなってくる…

<英語のお時間>〜翻訳って面白い?!

前回の英語の時間が少し短かったので、いつもより周期が短い。さて。 問題:He chuckled.「彼はくすくす笑った」の彼がもしも50すぎのおじさんだとすれば、あなたはどう訳しますか?ー翻訳家ノート・宮脇孝雄より 考えるヒント:主語が変われば動詞も変わる…

<人間のお時間>第二弾!

問題:「たとえば著作でも、書き続けるというのは一つのエネルギーを循環させるコツですよね。たくさん書いていれば内容が薄くなるという人ももちろんいるだろうけれど、それはその人の器であってセーブしなくても薄くなると思う。本当にすごい人というのは…

<社会のお時間>〜歴史のお話

さて歴史のお話である。 今から400万年前、地球上に人類が出現した。 そんなとこから始めるのか? そうですね、そんなとこから始めていたら僕の歴史も終わってしまいますね。 歴史って何だろう? ここに今回の「はてな?」があります。 歴史とは誰の歴史か。…

<英語のお時間>英語らしい言い回しって?

さて、今日は英語独特の言い回しに注目してみます。まずは複数形です。 メガネはglassesと言います。これはレンズが二つあるからでしょう。 ではコンタクトレンズはどうでしょう? これはcontact lensesと言います。もちろん二枚使うから複数なのですね。こ…

<国語のお時間>〜ちょっとマジメに現代文読解講座

では、早速引用文から。 変形によって芸術のすべてが説明できる、とは言えなくても、芸術創造が先行するものの変形を重要な要素として含むことは疑いがない。このことから、いくつかのことが帰結する。 芸術の創造が先行するものから出発してそれを変形する…

<小説のお時間>伊藤くんのひとりごと

2 さて、すっかり置いてけぼりをくらった伊藤くんがすねるといけないので、話を先に進める事にしよう。 伊藤くんも結構変わっているのだが、それは多分に両親の影響でもある。 伊藤くんの両親は、世間から見ればごく一般的な部類に入る。お父さんは普通の会…